We give our clients the confidence to make Iconic Moves

Welcome to Best Global Brands 2022

私たちを取り巻く世界は、巨大な変化を遂げつつあるように見えます。私たちは今、新たなルネサンス期を迎えているのかもしれません。

「変化は永遠に続く」。この概念を前提に考え、行動することが、今日のブランド構築とブランドマネジメントの王道であり、ビジネスを存続させるためのマクロレベルの文脈でもあります。テクノロジーがもたらす大きなシフトによって、人類は今後50年で史上最大の進化を遂げることでしょう。そのスピードは加速度的に増していき、ビジネスはもとより、世界全体と私たちの関係性を、根本的に変えていくことでしょう。

著名なビジネス思想家であり、リーダーシップ研究家でもあるコロンビア・ビジネス・スクール経営学教授のリタ・マグレイスは、「大きな変化をもたらす”変曲点”によって、成功の秘訣は変わる」と論じています。

しかし、変化が常態化した世界では、何が変曲点なのでしょうか。そしてブランドにとって、新しい成功の秘訣はどのようなものなのでしょうか?

インターブランドは、過去30年以上、独自のフレームワークである「ブランド強度」に基づくブランド価値評価を何千回となく実施し、企業のより力強い成長のためのロードマップ作成の支援を行ってきました。今年は、経済の不確実性が高まっているにもかかわらず、「Best Global Brands 2023」のトップ100の累積価値は初めて3兆ドルを突破し、前年比16%増となりました。これは、優れたブランドは厳しい時代にも強いことの証明に他なりません。

では、世界で最も価値あるブランドは、リスクと無縁なのでしょうか?いいえ、そうではありません。

ランキングの上位5ブランドの創業からの事業継続期間は、平均39.6年。一方100ブランド全体では110年となります。競争は激しく、関連ビジネスの拡大スピードはかつてないほど速くなっている分、リスクもまた大きいのです。私たちがBest Global Brandsを創設してから20年、今もトップ100に残るのは36社に過ぎません。この間、NOKIA、AOL、Yahoo、MTVなどの定番ブランドを含む140以上のブランドがランキングから脱落しています。

これは、今日のビジネスにとって何を意味するのか?
そして、ブランドの役割はどのように進化していくのか?

過去10年間、私たちはビジネス界における新たな潮流の誕生を目撃し、その大きさを実感してきました。そこに名を連ねるのは、Best Global Brandsランキングが示すとおり、あらゆる競合をはるかに凌駕する成長を遂げ、その勢いが衰えることを知らない企業ばかりです。今年、上位10位のブランドの累積価値(1,649百万ドル)は、11位から90位までのブランドの合計価値(1,440百万ドル)を上回りました。

このようなスーパーブランドのリーダーたちは、絶え間なく変化し続ける環境の中で、新たな顧客ニーズに対して、いつ、どこで、いかにブランドを資産として活用すべきかを理解しています。

今日、世界で最も成功している企業は、プロダクトではなく、ブランドを重要な成長資産およびエンジンとして活用しているのです。ブランドは、差別化されたプロダクト、サービスのポートフォリオ拡大を通じて、さまざまな顧客のニーズ(あるいはやるべきジョブ)に対応するための手段なのです。このような企業は、ブランドの持つ有用性を活用して、飛躍的な成長を実現しています。

インターブランドのグローバル・チーフ・ストラテジー・オフィサーであるマンフレディ・リッカは、次のように指摘しています。「これらの企業は従来のカテゴリー思考を超越し、事業領域や部門、規定の経路に縛られることがありません。卓越したプロダクツと、情緒的な価値に富んだ強固な顧客関係を基盤に、多方面へ進出しています。このような企業は、ブランドの有用性と資本を活用し、新しい分野で飛躍的な成長を遂げる一方で、既存分野でも利益を上げています。インターブランドでは、こうしたマーケットの捉え方、及びアプローチを“アリーナ思考”と呼んでいます」

今日、そして明日のリーダーたちは、いかにすればブランドを資産として活用し、商業的な成功を収めることができるのでしょうか。

真のリーダーシップ・ブランド:進化する意味体系(次回関連記事が掲載予定)

株主、従業員、地域社会、消費者など、多様なステークホルダーのために、企業にはより公平な社会を実現するための役割を担うことが求められるようになっています。その急速な変化は、社会課題を解決するための公平性を生み出し、ブランドは変化のための不可欠な手段となります。

現在、私たちが直面する「可能性の10年」に成功するポテンシャルを秘めたブランドは、持続可能な成長と利益の拡大を推進するために、卓越した体験と他社には真似の出来ない誠実さをバランスよく体現するでしょう。そして、「正しいこと」を「正しく行うこと」に、より一層注力するようになるでしょう。

これらのシグナルは、消費者が、いつ、どこで、ブランドと共通の価値を持つのか、また、ブランドが、どこで、どのように、自身の意味体系と補完し合い、より深い情緒的なつながりと高い関係性を促進するのかを理解するのに役立ちます。この考え方は、いわゆる「パーパス」を超えています。それは、完璧なインタラクションと大胆不敵な行動に裏打ちされた、より高い次元のブランド・リーダーシップなのです。

私たちは、これらのシグナルを「真のリーダーシップ・ブランド」と呼んでいます。これを実践するには、タフで大胆で、独自のスタンスを持つ必要があります。これこそが企業の意思決定とリーダーシップの指針となる北極星であり、すべての業務に共通するものです。絶え間ない変化の中で、この「Act」を実践することができれば、時代が求めるタイムリーで適切な意思決定が可能になり、より深く、より有意義で、顧客とのより強力な関係を築くことができるようになるのです。

インターブランドでは、過去18ヵ月間、クライアントやパートナーの正しい行動を支援するために、自身を進化させるための投資を行ってきました。私たちは、ブランド倫理、環境、インクルーシブデザインにフォーカスする専門領域を導入しました。また、初めて定量的な環境・社会・ガバナンス(ESG)データを Best Global Brand 2022のランキング算出に取り入れました。この変化の意味、そしてクライアントをサポートするためにインターブランドが行っていることについては、このBest Global Brands 2022のレポートの後半で詳しくご紹介します。

2021年のBest Global Brandsを機に、UNDP (国連開発計画) と共にスタートを切った私たちのイニシアチブ「Climate Change/気候変動に対するグローバルアクション」は社会の大きな関心を集め、賛同企業、パートナーとともに、その規模を拡大し続けています。このプログラムは、世界中のブランド、消費者、各国の政府を巻き込み、この種のものとしては最大の共創イニシアチブとなっています。そして、この活動に参加する企業メンバーは、毎週のように拡大しています。

気候変動や持続可能性への取り組みと並行して、私たちは組織が真に誠実に行動することを支援するために、これからの時代に求められる企業倫理に関するサポート業務を新たに構築しました。これは将来にわたる信頼の核となり、企業が今後事業を行う際に社会からの承認を得るための基盤になると、私たちは考えています。また、ブランドがあらゆるタッチポイントで可能な限り誰ひとり取り残さないことを支援するために、インクルーシブデザインの実践を拡大しました。

私たちは、こうした領域でのすべての業務を通じて、「真のリーダーシップ・ブランド」を採用しているブランドは、従来のカテゴリー、業界の壁を軽々と超え、競合よりも速くスケールアップできることを理解してきました。

「真のリーダーシップ・ブランド」は、ブランドが自信を持って軌道に乗り、顧客の期待を再定義し、新しいカテゴリーの規範を作り、「Iconic Moves」を実現するための明確な方向を指し示します。

私たちインターブランドは、今年の「Best Global Brands」にランクインした100のブランドそれぞれに、心からの祝意を表します。そして、この「可能性の10年」を共に歩むすべてのブランドと緊密に連携していくことを、心より楽しみにしています。

Gonzalo Brujó
Global Chief Exective Officer
Interbrand

Translated and edited from “Welcome to Best Global Brands 2022”https://interbrand.com/thinking/welcome-to-best-global-brands-2022/