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Lawson

楯 美和子 様
株式会社ローソン
常務執行役員
コミュニケーション本部長

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

昨年5月にコロナが5類に移行し、人流が回復。インバウンドも戻ってきたことで、グループの軸となるコンビニ事業も、映画やイベント、コンサートなどのエンターテインメント事業も非常に好調です。我々は「人が動く」ことで成長する業態であることを改めて感じました。 
一方、コンビニ事業を例に挙げればコロナ禍中は、生鮮や冷凍食品の拡充など、「人が動かない」時の需要を取り込むべく改革を進めてきましたが、これらはコンビニの日常使いとして今も定着しています。イベントやコンサートにおいても、リアルが回復してもリモート配信はなくなってはいません。人流回復に加え、これらコロナ禍中の改革がオンしたことで、更なる成長ができています。 

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

競合のボーダレス化が更に加速しています。たとえば、コロナ禍以前にお弁当の競合として意識していたのは同業のコンビニやスーパーでしたが、今は外食産業も競合化していますし、ドラッグも食品に力を入れるようになりました。 
もうひとつ、大きく変化したのは日用品の位置付けです。これまでコンビニにおける衣料や家庭用品などの日用品はいわば「緊急対応」向けで、主力とは言えませんでしたが、巣ごもり需要に対応するために強化した無印良品や韓国コスメ「&nd by rom&nd(アンドバイロムアンド)」の導入などで、指名買いが増えました。「緊急対応」から「日常対応」への変化をしっかり捉え、さらに進化し続けていきたいと考えています。 

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

お店のレイアウトや商品はどんどん変えていきますが、ブランドの核はぶらさないことが重要だと考えています。 
コンビニ事業はフランチャイズビジネスなので、加盟店は重要なパートナーであり、営業部門は常に加盟店の皆さんに向き合っています。つい加盟店ファーストの視点になりがちですが「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」というグループ理念を加盟店の方たちと共有し、その先のお客様のニーズをしっかり見つめることが重要です。コロナ禍の中、手間のかかる店内厨房を全国1万店規模に増やせたのは、加盟店の方と目線を合わせられた結果だと思いますし、本部と加盟店が一体となった事で、人流が減った中でも店利益をあげることができました。 

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

コロナ禍を機に、働き方や意識は大きく変わりました。特にリモートの利点を認識できたのは大きかったと思います。この先労働人口が減っていく中で、リモートの重要性はますます高まるでしょう。私たちも、全国約14,600の店舗とのコミュニケーションにオンラインの活用を始めています。各エリアで加盟店の皆さんと開催している会議にトップや役員が東京からリモートで参加することも可能になりました。またこの1月には、国内外のグループ会社の社員に向けてブランディングイベントをハイブリッドで開催しました。 
リモートを活用してコミュニケーションの頻度を高めることで、ローソングループとしての一体感が高まってきたと感じています。 

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

元旦の能登半島地震の際はトップがすぐに現地入りし、全社をあげて被災店舗の復旧にあたりました。日々のボランティア活動に積極的に参加する社員も増えています。こうした活動にも「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」というグループ理念が、DNAとして浸透していると感じています。 
2020年にローソングループのコア・バリューとして定めた「みんなの役に立ちたいチャレンジャー」という概念は、この理念を具現化したものでした。 
一億円の予算で社員からアイデアを募集する「億チャレ」や、日々の業務チャレンジを称える「Lチャレ」も理念の浸透や実現に結び付いています。 
さらにトップからのインナーコミュニケーションにおいては、常に「みんなの為のチャレンジ」が発信されています。