We give our clients the confidence to make Iconic Moves

日本人の健康的な食生活の習慣化を浸透させる」という大きな目的の達成に向け、企業としてのプロミス策定からスタート。その上で従来のビジネスモデルに囚われることなく、かつ自分たちの持つ提供価値を見直すことで、商品開発のみならず新事業・サービス開発を可能としたブランディング活動

課題背景

昨今、国を挙げて「健康経営」への取り組みが叫ばれている中、人々の日常生活の実情は、野菜の摂食量の不足や朝食の欠食率の高さなど、特に20-40代の働き盛りの世代が食生活に課題を抱えている現状に注目した。この状況を個人としての課題ではなく、企業や社会の課題へもつながる問題として捉え、解決していくことを目指した。一方で、大手清涼飲料メーカーとして、これまでの商品開発は「モノ」起点で競合差別性を追求し、より多くのお客様に受け容れられるものを目指してきていたが、結果として競合と同質化してしまうことを課題と考えていた。今回は従来の延長線上での新商品開発ではない新たなアプローチで市場創出型のブランディングを考える必要があった。

組織体制

プロジェクト開始当初から、企画、営業、管理の複数部門の担当者が参加する横断チームを結成し、極めて少数のメンバーで回す体制を構築した。意思決定においてはスピード感を重視し社長直轄のチームとし、経営判断を仰ぎながら進行を行う既存事業とは異なる仕組みをつくり進めた。トップの強いコミットメントの元、判断の軸は常に「働く人のココロとカラダの健康」として、常にチームで意識し、立ち戻ることでブレずに活動することを目指し、実行した。

戦略・実行

徹底したお客様視点による「事業コンセプト立案」に最も力を入れ、商品だけでなくサービスやチャネルなど、全社の関係者を効果的に巻き込み、お客様の反応を見ながら、スピーディーに仮説構築・検証を繰り返しながらブラッシュアップを行った。特に、従来は基本的にマスマーケットに対して、不特定多数のお客様への受容性を強く意識することに対し、今回は、企業及び、そこで働く社員の方との継続性を重視したサブスクリプションモデルでのビジネスモデル構築を目指すというチャレンジが必要であったことから、実際の商談段階におけるニーズや受容性、課題やボトルネックを明確にし、共有することや、既にサービス導入を始めている企業においては顧客アンケートなどを実施し、地道にPDCAを回すことに注力した。またブランド視点でのこの新事業が持つ「らしさ」を議論し、大きな方向性としてまとめ、社外のパートナーや取引先と目指す姿として共有していくことで、一貫した世界観の展開につなげている。

活動の成果

2017年首都圏からスタートし、2019年全国へ展開を広げる中で、導入企業数は2018年に対前年比で135%、2019年の対前年比は528%と継続伸長している。コロナ禍の5?6月頃は、当初設計をしたビジネスモデルでは、事業継続が危ぶまれる局面があったが、「働く人」の健康を考えるというブランドの提供価値に立ち返り、改めて企業の健康推進担当者の声に耳を傾けることで、リモート環境下で働く人々の健康サポートにも力を入れた活動を行うという、企業のパーパスを踏襲するブレない取り組みを行う意思決定がなされたことも成果の一部だと考えている。また今回の成功がきっかけとなり、キリングループ内で会社を横断するプロジェクトも立ち上がっているなど、グループへの好影響も生まれている。

ご担当者様コメント

お客様視点で“働く人のココロとカラダの健康”をテーマとしてKIRIN naturals を立ち上げ、これまで社内外の様々な課題解決に日々取り組んでいます、社会課題の解決の視点と、人々の健康へのサポート、その実現を念頭にブランディングを行っています。どのような環境の変化においてもお客様に寄り添って支援すること、お客様の課題を解決していくことに全てを帰結させていくことをブレずに続けたいと思います。今回本活動を改めて振り返りまとめることにより、ブランドとして伝えたいことや大事にしていることを、分かりやすく発信し広めることができれば、と思っています。

評価コメント

新たな取り組み、チャレンジは、どのような企業においてもその成長において必要不可欠なことであるが、特に大きな企業体においては、往々にしてその取り組みを行う場合、既存の考え方や社内の仕組みが、障壁となることがある。その中で「働く人のココロとカラダの健康」という大きな社会課題を解決するために必要な事業コンセプトをスピーディーに有機的な組織で行った点を評価しました。そして何よりも、その全ての活動が、お客様視点を起点としたブランドコンセプトに紐付いているということであり、その結果コロナ禍という想定外の環境変化に対しても、ブレずに迅速な適応を可能としたことに現れています。本件の成功が新たなビジネスモデルとしてグループを横断する新プロジェクト立ち上げに影響を及ぼしている点も高く評価しました。