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こだわり酒場のレモンサワー – Japan Branding Award

お客様のお酒に対する嗜好・楽しみ方がこれまでとは大きく変化している中で、お客様が商品に対し本当に求めているインサイトを深掘りすることで明らかにし、家庭用・業務用それぞれのタッチポイントを最大限活用することで三位一体のブランディングを実現した新カテゴリー創出の活動

課題背景

伸長するレモンサワー市場においてサントリーは後発であり、既に業務用、家庭用共に、市場には有象無象のレモン味の商品が存在していた。一方で、過去に、業務用、家庭用でブランドを統一し、自社で成功した事業モデルとして角ハイボールがあるが、それと比較するとレモンサワーはしっかりと確立したブランドが無い。今回の取り組みは、既に存在するレモンサワー市場において、家庭用と業務用並行してブランドを構築し、いかに差別化された独自価値を創出していけるか、という点が大きなチャレンジであった。

組織体制

今回、家庭用と業務用の両市場の違いと、瓶と缶の両商材の違いがあるために、従来の縦割りのチーム体制ではなく、部門横断のチーム編成が会社の方針としてなされた。そのチームの中でどの様に役割分担を行い、進めていくかについては、メンバーで議論を行いながら判断し、合意形成を行った。デザインと開発・製造メンバー、営業も商品開発の議論の段階から積極的に参加し、どの様にブランドを育てていくべきかをお互いに意識しながら取り組んだ。

戦略・実行

お客様が何を求めているのか、潜在的な期待や不満の有無などブランド体験の場から多くの声を聞き、インサイトを深掘りすることをチーム一丸となりスタートした。お客様は市場にあふれる様々な種類のレモン味のお酒の中から「選ぶ」という行為に疲れており、定番の普通に美味しいモノを飲みたいというニーズが見えてきた。
その考えを元に「定番ど真ん中」を全方位で実現していくために三位一体の戦略を構築した。「業務店=実際のお店での最優良体験」「缶=お店の味を缶で手軽に楽しめる」「瓶=お店の味を自分の好みの濃さで楽しめる」それぞれのシーンでの各体験が一体となり、魅力的な体験提供に繋げるためチームと関係者がブランドのパーソナリティや情緒価値など、三位一体で展開する際のブランド憲章をチーム全員でワークショップを行い策定した。そして定義した価値は競合差別優位性を有しているか、目指す姿は事業戦略に則しているかを勘案した。ブランド浸透においては、中期目標の策定とロードマップを作成し、ブランド全体・接点(SKUや広告)ごとに目指す年間KPIも策定した。KPI策定はブランドチームだけではなく、社内外の関係者と共に議論をしつくり上げた。

活動の成果

2019年の売り上げについては、瓶・缶・業務用の接点が揃ったことで、市場の伸張率117%に対し当社は150%で伸張し、サントリースピリッツ事業に非常に大きく貢献することができた。日経トレンディや日経MJでヒット商品として取り上げられるなど世間でも話題となった。

ご担当者様コメント

部署を横断し1つのチームを結成し、瓶・缶・業務用とそれぞれの市場と顧客の観点から活発な議論を継続し、ブランド価値・KPIを設定できたことと、ターゲットとコンセプトをシンプルかつ明快に設定し、デザインと中味で体現出来たことがお客様の評価と成果につながったと考えています。
今年はコロナを経て、ブランドの大事な接点である業務店での体験が限られるという大変さもあったが、お客様の声を真摯に聞いていくと環境変化の有無に関わらず、改めて体験品質を向上させることが使命だと感じ、これからもお客様に寄り添い、コアであるブランドの提供価値をぶらさずに新しいことにも取り組んでいきたいと考えています。

評価コメント

後発の市場で、それぞれ個人が思い描くイメージが異なるレモンサワーにおいて、いかに「定番ど真ん中」という難しいブランドイメージを構築していくか、その挑戦を社内の関係者が一丸となり、本当にお客様が求めていることは何かに拘り、そして一度決めたブランドの提供価値を粘り強く、顧客接点で一貫性を有するコミュニケーション活動を行なっている点を評価しました。業務用と家庭用という異なる流通経路をいかに、それぞれにとって相乗効果がある施策をチームでブレることなく考え、実行に移した実行力についても同様に評価しました。