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TIAT – Japan Branding Awards

羽田空港国際線ターミナルで働く様々な職業の8500人の従業員一人ひとりが、東京の空の玄関である空港で働くことの誇りと一体感の醸成を実現することで、顧客サービス向上につなげた活動

課題背景

2010年に開業した羽田空港国際線旅客ターミナルを運営するTIAT(Tokyo International Air Terminal)は、当初の一般生活者が描くイメージ「国内線は羽田空港、国際線は成田空港」を、いかに「国際線といえば羽田空港」というポジションにシフトしていけるか、という課題を抱えていた。一方、ターミナル内においても様々な事業体(関係官庁、航空会社、飲食、物販、テナント等)がそれぞれ独自の考え方や方針を掲げる中で、従来のトップダウンによる定型のやり方やツールを用いた浸透活動では効果が出づらい環境のもと、社員・従業員満足を向上させ「羽田空港で働くことを誇りに思える」ことを目的として、スタートした活動である。

組織体制

2012年当初の推進活動は、有志によるメンバーでブランディングとは何かを学ぶことからスタート、現在は社長をリーダーとした体制を構築し、企画部が主幹部署となりブランドワーキンググループとして部署(総務部、財務部、監査部、営業部、施設部、旅客サービス部、防災保安部)を横断したプロジェクトチームが編成され、特別目的会社という特性からメンバーの異動頻度が高く、チーム組成が困難な状況下においても他業務を兼任しながらも粘り強く継続している。

戦略・実行

まずお客様・従業員に向け、ありたい姿としてブランドステートメント「Mission(社会に約束する価値)・Value(お客様に約束する価値)・Action(関係者で共有する規範・約束事)」を策定。企業の意思を明確にするために、社長以下役員へのインタビュー実施や、有志による勉強会にて会社のあるべき姿について議論・検討。また、本社社員・委託先及びテナント従業員・消費者が持つイメージ、期待、不満など意識調査を通じて明らかにし、そのありたい姿の達成に向け、内外にわかりやすく伝えるためにコミュニケーションメッセージ「WE ARE TOKYO」を開発。シンプルで力強い、「東京」という日本の首都に位置する唯一の「国際空港」という強みを活かしたフレーズとした。
TIAT社員70名、羽田国際空港で働く人8500人が対象という状況において、草の根的な浸透活動で効果を上げるために、まずは社員のタッチポイントの洗い出しを行った。そして、館内のマルチなタッチポイントの活用と合わせて、従業員とのインタラクティブな関係構築を手軽に行うために、ターミナルすべての従業員を対象とした専用のポータルサイトを開設し、情報交換の場として活用。また日々の活動の中で、ブランドを体現したアクションを促すために、「Can We Help You?」を開発し、業務の中で使用できる言葉を用いることでありたい姿の実践に繋げている。

活動の成果

2018年実施イベントの参加人数が1000人を越え、その内84%がポータルサイトに参加しているなど、確実に継続している活動の成果が見られる。また活動内容も管制塔ツアー、JAL機体工場見学など各社の協力を得ることが出来る関係性の構築に繋がっている。
また、第三者機関からの評価として、イギリスの航空格付会社Skytrax社から「5つ星空港」の称号を5年連続で獲得。

ご担当者様コメント

ブランディングは、継続していくことが大切だと考えます。今回エントリーしたのは、応募が、羽田空港国際線ターミナルで働いている従業員の価値を高め、誇りを醸成していく活動を継続するチカラになると思ったからです。ES(従業員満足度)とCS(顧客満足度)には相関関係があると考え、ここにブランディングが加わることで、ESとCSの繋がりが強まり、そしてブランド価値向上に繋がるといった3つがうまく循環していくことを願っています。
今後は、2020年3月以降、国際線、国内線をシームレスにつなぎ、羽田空港全体のWE ARE TOKYO活動として拡げていきたいと考えています。

評価コメント

TIATという会社の成り立ちが一般の企業とは異なる特別目的会社であることから、通常多くの会社がブランディングに取り組む際にベースとなる帰属意識や、一定の強制力が効きづらい状況であることと、従業員8500人は、様々な会社に所属する社員、アルバイトなどブランディングを行うには困難な状況の中、参加型の楽しめるイベントだけではなく、アンバサダーとして巻き込むアクションを並行して行なっていることと、リアルなタッチポイントだけではなく、全従業員に向けたポータルサイトでの情報拡散、インタラクティブなコミュニケーションを継続した結果、イベント参加人数、活動の知名度共に着実に向上し、定着した活動となってきている点を評価しました。また、ターミナルを活用してのコミュニケーションがSNSで空港利用者以外の一般の生活者にも拡がり始めるなど、社外向けの活動に拡がっている点も高く評価出来ると考えました。