We give our clients the confidence to make Iconic Moves
84

Pigeon

田窪 伸郎 様
ピジョン株式会社
上級執行役員 経営戦略本部長

Best Japan Brands 2025
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。 各社のブランドリーダーが 3つの質問に答えるインタビューシリーズ。

問1. どんな1年であったか:

この1-2年を振り返ってみて、貴社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか?
「ひと言」で表現するとすれば、どんな言葉で表すことができるでしょうか。その「ひと言」の背景や意味合いなどもお聞かせください

2024年は長らく低迷が続いた業績の「底入れの1年」だったと感じています。
2023年、ALPS処理水問題等の影響により中国ビジネスが非常に厳しい状況にありましたが、主力販売チャネルのECプラットフォームを中心に、マーケティング活動を抜本的に強化することで、中国での売上回復を果たすことができました。
中国以外では、国によってはローカルブランドの台頭によるMade in Japanのアドバンテージの減退や、新規参入ブランドによる利益を度外視したマーケティング攻勢等、事業環境が益々厳しさを増す中で、国によって業績に濃淡がありますが、販売チャネル特性に合わせたデジタルマーケティング、オンラインでの施策強化などを行いながら、全体では売上成長が実現できました。

問2. Change – 変化と対応:

この1-2年において、様々な変化があったものと思われますが、貴社にとっての主な変化とその対応について、お考えをお聞かせください

以前からの傾向ではありますが、出生数・出生率の低下が大きな影響を与えています。昨年、中国は8年ぶり、韓国は9年ぶりに出生数が微増となりましたが、日本は低下が止まりません。このような中で、日本では新たな成長領域として取り組んでいる「育児家電」が好調です。例えば「ベビー電動つめやすり」や「電動鼻吸い器SHUPOT」など、共働きが当たり前となった子育て世帯をサポートする高付加価値商品が幅広く求められています。同時に、乳児期から成長した幼児期のお子さんにも、引き続きPigeonブランドを使っていただけるよう、対応する商品・サービスにこれまで以上に力を入れています。
また、SDGsへの様々な取り組みも継続して実施しており、そうした社会貢献活動がPigeonへの理解・共感・支持といったブランドの基盤の強化につながっていると感じています。社会貢献活動は、すぐに業績に結び付くものではありませんが、継続していくことが重要と考えています。

問3. Challenge – 未来への課題:

今後 (これからの1-2年で)、貴社の事業やブランドにとってどのようなこと(変化)が起きると考えていますか?その変化による課題に対して、どのような準備が必要だとお考えでしょうか

中核市場での出生数の右肩下がりが続く中で事業を成長させていくためには、地理的な展開エリアの拡大と、幼児やママ向け事業の拡大への挑戦をしなければなりません。新たな事業領域には新たな競合企業がいますので、そのような中でピジョンの強みや独自性をどのように出していくかが問われると思います。プレゼンスが低い市場で、どのようにブランドを作っていくのかが今後の課題だと思っています。必ずしもPigeonブランドに固執しなくてもいいのでは、と考えている面もあり、例えば他のビジネスパートナーとの協働や、社内のリソースの見直しを含め、柔軟な発想で取り組んでいきたいと考えています。さらに、昨今では事業の推進だけではなく、SDGsの取り組みも、即効性はないですが、確実にブランディングに効いてくると実感していますので、着実に進めていきます。