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ITOCHU

小林 文彦 様
伊藤忠商事株式会社
代表取締役 副社長執行役員 CAO

Best Japan Brands 2025
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。 各社のブランドリーダーが 3つの質問に答えるインタビューシリーズ。

問1. どんな1年であったか:

この1-2年を振り返ってみて、貴社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか?
「ひと言」で表現するとすれば、どんな言葉で表すことができるでしょうか。その「ひと言」の背景や意味合いなどもお聞かせください

伊藤忠グループは、2020年4月から、創業者・伊藤忠兵衛の言葉から生まれた「三方よし」の精神を企業理念に掲げています。よく「それはパーパスですか?」という質問を受けますが、我々にとってこの理念は謂わばパーパス(why)を超えた存在(we must be)であり、成長に欠くことの出来ない金看板になると自負しています。 
昨年は、この理念がハーバードビジネススクール(HBS)のケーススタディに選定されました。これによって、「三方よし」は信頼を生み出すベースであり、競争戦略であるということが実証され、私たちは、理論的な根拠を世界に示すことが出来るようになったと考えています。昨年、最も大きかったのはこの点ですね。 
たとえば、新型コロナワクチンの職域接種において、弊社は第一号会場になりましたが、このときは、社員はもとより、独自判断で地域の保育士(当時は優先接種対象外)1,500人への接種も提供。企業理念「三方よし」を実践したのみならず、後に他自治体でも保育士を優先接種対象に加える動きがあり、社会的課題の解決に向けたきっかけを作りました。 

問2. Change – 変化と対応:

この1-2年において、様々な変化があったものと思われますが、貴社にとっての主な変化とその対応について、お考えをお聞かせください

昨年公表した経営方針では、「企業ブランド価値の向上」を柱の一つとしています。当社は様々な先進的な施策を通じてブランド力を積み重ねてきていますが、今後も「マーケットインの発想」の下、市場・社会・生活者の声に耳を傾け、地道な定性面の磨きの継続により、ブランド価値の更なる向上を目指したいと考えています。 そのひとつが、「日本一、良い会社にしよう」というスローガンの下、10年来継続してきた「働き方改革」です。具体的には、朝型勤務、がんと仕事の両立支援、女性活躍躍進などを推進してきました。これらは当社を大きく変革するとともに、成長の原動力になりました。 
弊社の労働生産性は、2010年を1とすれば、23年度にはその5.2倍に向上。また、私共も驚きだったのですが、女性社員の出生率は、かつては1.0にも届いていませんでしたが、21年には日本の平均出生率1.30を大きく上回る「1.97」までに伸びています。当社のモデルが国政の場を通じて広く紹介されました。 

問3. Challenge – 未来への課題:

今後 (これからの1-2年で)、貴社の事業やブランドにとってどのようなこと(変化)が起きると考えていますか?その変化による課題に対して、どのような準備が必要だとお考えでしょうか

「三方よし」の三本目の足である「世間よし」を、より深く差し込んでいくことが、ブランドをさらに強固にするためのチャレンジになると考えています。誰もが自分ごとにできるSDGsに取り組み、解決をめざす「ITOCHU SDGs STUDIO」は、その具現化のひとつです。この取り組みに対するご評価は予想以上で、来場者数は年間約18万人。国内外を問わず視察も相次いでいます。 
これらの取り組みにより、弊社はESGやSDGsの指標では国際的にも極めて高い評価を頂いております。「日本一良い会社」とはどのような会社なのか。私は、売上の高い会社でも、規模の大きな会社でもなく、サステナブルな会社だと思います。以上に申し上げた様々な取組みにより、ここ数年は大学生向けの就職人気企業ランキングにおいて、多くの主要媒体で一位をいただいており、これはまさにサステナブルな会社として世間から一定の評価をいただいていると感じています。今後もこの目標が達成できる未来へ、一歩一歩近づいていきたいと考えています。