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STARBUCKS – Japan Branding Awards

グローバルブランドが日本独自の更なる進化に向け、最高のコーヒー体験を創り出す旗艦店OPENを契機とし、全国1400以上の店舗と全従業員を巻き込み、その魅力や可能性を見つめ直した原点進化の活動

課題背景

日本上陸から23年目を迎える中、これまで着実にビジネス成長を遂げてきたが、事業・マーケティング領域の拡大や、日本のコーヒーブームの第3の波であるthird wave of coffee の台頭により競合環境が変化していた。その中で、改めてブランドの核となるコーヒーの価値を見直すことで、更なる飛躍に向けた原点進化を考え始めていた。そのために世界で5番目のOPENとなる旗艦店(スターバックス リザーブ ロースタリー 東京)の持つ“最高のコーヒー体験”の提供を中核とする全社プロモーションを企画し、ブランディングを推進した。

組織体制

日本のトップマネジメントをステアリングコミッティに据え、プロジェクトチームはロースタリーチーム(今回のブランディングの核となる戦略を策定)とナショナルチーム(戦略を全国の現場へ展開する活動の統括・リード)の2つに分け、プロジェクトスタート当初から、本社完結型ではなく全国展開を見据えた組織構造で進行。2チームを束ねる役割としてマーケティング責任者であるブランドマネージャーがハブとなりマネジメントと密に連携を行い推進。

戦略・実行

ロースタリーと既存店がそれぞれの役割や環境において、いかにブランド体験を全社で最大化できるかから検討を始め、その位置付け・関係性をクリアにすることからスタート。ブランドの提供価値にMissionを源とする「Make it Yours.」というテーマを設定し、そこに込めた想いを明文化して全社で共有する仕組みをつくり、同時にスターバックスの基本となるブランド表現をベースに、コーヒーを軸としたクリエイティブ表現のガイドラインを新たに作成し、全国どのお店でも一貫性のあるブランド表現を展開。
また、ロースタリーのロースターが焙煎する「TOKYO ROAST」という新しいコーヒー豆のブレンドを開発し、全国の店舗で楽しめる取り組みも実行。併せて、日本独自の取り組みとして「AMU TOKYO」というイベント/セッションの場をロースタリー内に設け、人々が集い、一杯のコーヒーを飲みながら様々なセミナーやイベントでインスピレーションを得る場を提供。その他の活動においても、各商品のストーリーなどを現場へ落とし込むツールを導入するだけではなく、ロースタリーを実際に従業員に体感してもらうことを目的とし、1,400人以上の全国の店長を招待する社内イベントを3日間実施し、その体験を全国の店舗に伝道師となり伝えて貰う取り組みを継続。

活動の成果

ロースタリーの売り上げは計画を大幅に上回り、最大の待ち時間は6時間に及び、開業直後5日間のメディア露出も全世界で4.5億リーチに達した。また従業員のコーヒーに対しての情熱を刺激できたことにより、ブランドの軸であるコーヒービジネスへの理解や興味関心度が向上(例:店舗におけるテイスティング活動の実施率90%以上など)にもつながっている。従業員アンケートでは、「各店のカスタマイズドリンクを自ら押し出すことで、自店のアイデンティティを考えるきっかけになった」、「ロースタリー訪問イベントは、自社の価値を改めて感じられた」など、改めてブランドのコアを認識し、スターバックスで働くことへのプライドを社内で再活性にも貢献。

ご担当者様コメント

まず今までの23年間の中で、スターバックスとして守り抜いてきたもの、そして変えていくべきものをどう整理するかがポイントとなりました。伝えたいメッセージを絞り込み、戦略的にメディアやSNSなどマルチなタッチポイントを活用し情報発信を行いました。最もチャレンジだったポイントは、全国に展開する1400店舗以上の従業員をどう巻き込むかでした。社内浸透活動の一環として参加をして貰うことと、参加して得た体験をどの様にお客さまに届けることが出来るのかを考え、実行を行う中で多くの課題を乗り越えてきました。

評価コメント

ブランドの原点であるコーヒーを軸としたブランドの成長戦略を起点とし、顧客とのタッチポイントにおけるアクティベーションにまで反映させている点と、旗艦店のOPENを一過性のイベントとして扱うのではなく、全国の既存店の従業員を巻き込んだ継続的なムーブメントとしている戦略が評価に値すると考えました。また既に20数年に渡る日本での事業活動により既得価値が築かれ、顧客ファン層に対してブランドの魅力もより多岐に渡る状況において、敢えて原点であるコーヒーにフォーカスした絞りこみ戦略を行なったにも関わらず、既存顧客の離脱を招くどころか、既存顧客のロイヤリティアップにも繋げている点もブランディングの事業成果への寄与を非常にシンプルに証明できているケースとして評価します。