We give our clients the confidence to make Iconic Moves

DAIKIN – Japan Branding Award

激化するグローバル競争に勝ち残るために、これまでの「エアコンを中心とした会社」から「空気の新たな価値を協創する会社」へ中期経営戦略で企業ドメインを再設定し、日本からグローバルへ拡大を続ける社内外の浸透活動

課題背景

2016年に始まった中期経営計画(FUSION20)で掲げた「英知と情熱を結集し空気と環境の新たな価値を協創する」の実現に向けた事業成長を目指すにあたり、時代の変化を捉えた社会課題の解決に向けた積極的・具体的な投資を追加するために、具体的な方針を社内外に分かりやすく示す必要があると考え活動を開始した。市場環境の変化や環境問題の高まり、事業や製品の特性を踏まえ、これまでの機能性を中心とした価値訴求から、生活者、社会に何を提供し、貢献していくことが必要となるかの視点で、新たに情緒的な価値を向上させることに取り組んだ。

組織体制

中期経営計画の策定時は、経営企画室、マーケティングリサーチ本部、コーポレートコミュニケーション室、CSR、総務部広告宣伝グループのメンバーによるブランドプロジェクトで企業として目指す姿を検討した。実行は、総務部広告宣伝グループとコーポレートコミュニケーション室広報グループが連携して施策展開を行った。

戦略・実行

2017年に競合や顧客・社会の視点も含め(グローバルブランド調査?44カ国?の実施など)目指す姿を「空気で答えを出す会社」とし、ブランドステートメントを策定した。そして、一貫した世界観を実現するためにビジュアルコミュニケーションガイドラインを策定し、あらゆる制作物のトーン&マナー統一の指針として拠り所になっている。
本活動において、定義があいまいで個々人によって解釈が異なる「ブランド」という言葉は極力使用せず、ブランドが必要な理由とその活動が意味することを、企業として何を目指し、世の中にどの様な価値を提供していくのかを定める活動について、どの様なメリットがあるかを説明することが重要と考え、そのことへ手間と時間をかけて行った。
社内外の浸透活動は、短期間での認知・理解を獲得するためにテレビ広告を中心とし、並行してオウンドメディアでの浸透PHASEを3つに分けて設計し情報発信した。施策の結果は調査データをビジネス・インテリジェンスツールでダッシュボード化した。ミラノサローネやCEATECでは商品だけでなく「空気で答えを出す会社」に込めた想いやと目指す姿を、展示として具体化することで見える化を進めた。

活動の成果

これらの成果として、生活者を中心としたステークホルダーに対し、総合家電メーカーとの差別化されたブランドとしての評価獲得、ブランドパーパスに共感する学生の採用力強化、株式市場での高評価につながっている。採用については、企業が求めている人材の獲得によりつながっている。今回の活動を通じた情報発信によって、今まではエアコンの会社への就職という意識が高い印象を受けたが、今は、「空気で答えを出せる」ことに共感し入社して様々な分野で若い社員が活躍している。

ご担当者様コメント

ブランド検討チームで、エアコンの会社から空気の会社への転換という方向性を見出した当初は、社内外において「空気」という事に対する違和感もありました。しかしながら実際に中期経営計画で事業として取り組みが始まり、同時に「空気で答えを出す会社」というステートメントを、CM等を通じて幅広く発信するようになると、共感が社内外に少しずつ広がっていくことを感じました。コロナが発生した時、「空気で答えを出す会社」が一般の方にも浸透し、受け入れられはじめた状況だったからこそ、換気の重要性のメッセージにも高い関心を得られたと思います。

評価コメント

中期経営計画と密に連携したブランドパーパスを定義し、ブランドステートメント及び、そこに込めた想いを特に社内でどの様にすれば理解を得られ、共感を産むことが出来るかに注力し、丁寧にそして継続した活動を行なったことを評価しました。そして何よりもこのコロナ禍において、出口の見えない不確実性な状況で沈黙を貫く日系企業が多いとされる中で、パーパスに基づく具体的な展開(換気啓発・換気方法等・換気ソリューション)はスピード感を持ち、次々と実行している点を高く評価しました。そしてこの様な社員の意識の変化と同時に採用面への貢献もこれからのビジネス領域、機会の拡大につながるブランディングとなっていると考え評価しました。