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Hitachi – Japan Branding Award

中期経営計画と同期したブランディングキャンペーンを推進し、日立が社会に提供する価値を伝える「社会イノベーション事業」のグローバル共通メッセージを開発した上で、日立グループ全社員30万人へのメッセージ浸透も同時に推進し、社内外コミュニケーションを強化した活動

課題背景

2013年にグローバル市場での成長をめざす3か年の事業戦略である中期経営計画を策定。日立独自のコンセプトである「社会イノベーション事業」のステークホルダーの理解を促進し、その優位性を訴求する必要があった。また、社内は大型のM&Aなどによって、新たにグループに参加する社員が急増する中、日立グループがどのような企業で何をめざしていくのかの共有を通じた一体感の醸成が喫緊の課題であった。今後グローバル市場での成長には、ブランディングを通じてグループ一丸となることが必要と考え、グループ全社員30万人を対象としたインターナルコミュニケーション活動を強化した。

組織体制

本社のブランドコミュニケーション本部内に、ブランドガバナンス機能とコーポレートコミュニケーション機能を担う部署があり、両部署が連携してグループブランディングを統括・推進。また、各事業ユニットにはブランドマネジャーを配し、事業レベルでのブランドコミュニケーションを維持強化。さらに、各地域には5つのリージョナル本社(中国、東南アジア、アメリカ、欧州、インド)にブランド責任者を配置し、事業軸・地域軸のマトリックスで連携し、本社がブランドガバナンスを推進した。

戦略・実行

2013年度より「Hitachi Social Innovation」を軸にグローバルブランドキャンペーンを開始し、3年ごとに中期経営計画のテーマを見据えた全世界共通メッセージを発信。2021年中期経営計画では、新ステートメント「Hitachi Social Innovation is Powering Good」を開発。社会課題の解決を通じての提供価値や訴求ポイントを、明確に伝えることをめざした。また、社内浸透は、全世界の日立グループ社員が一体感を感じ、社外に一貫性を有するイメージ発信を行うことを目的として、メッセージの柱やトーン&マナーも含めたグローバル統一ガイドラインを策定。さらに、ブランドに対して、理解を深め、愛着を感じて貰うためグループの価値観、創業理念、ミッション・ビジョン・バリュー等を、ブランドブックやムービーなど情緒的に伝えることが可能なコンテンツを開発し浸透に役立てた。各地域ごとの情報発信においてもグループとして一貫性が有り、一体感を感じるメッセージ発信を推進するため、本社と各事業ユニットや地域においてガバナンス体制を強化し活動した。

活動の成果

毎年実施しているインターナル従業員サーベイは、グループ全社員30万人中28万人以上が回答し、日立グループブランドに対する理解度は80%に達し、新メッセージ開発による訴求ポイント明確化により、中計への理解度が上昇。また毎年実施している日立ブランド価値向上に貢献したプロジェクトを表彰する「社長ブランド表彰制度」への応募数は、コロナ渦に見舞われながらも、自由参加ながら今年最高応募数を更新した。また社外の成果として、日立グループの「社会イノベーション事業」ブランド想起率は、2017年度41%から2019年度には53%に上昇するなど、めざすイメージの獲得が確実に形となっている。

ご担当者様コメント

今後の情報発信は、SNSなどを中心としたデジタルコミュニケーションが中心となり、同時に、これまでのコミュニケーションは、リアルなイベントとオンラインの両タッチポイントを活用したハイブリッド型が主流となり、社内と社外の浸透活動も統合されていくと感じています。日立は技術志向が強い企業ですが、顧客価値を起点とした事業創造を行う企業への変革を進めており、コミュニケーションにおいても、具体的な取り組みを通じて、日立への理解促進を図るだけではなく、ステークホルダーに共感を得ることも大事にした活動を続けたいと思います。

評価コメント

グループ全社員30万人という難易度の高いグループエンゲージメントにおいて、理解促進だけではなく共感を得るという点に創意工夫をしながら、より効果的な施策を実行されています。他の多くのケースでは、事業戦略とブランド戦略が分断される傾向にある中、トップコミットメントのもと、中期経営計画と連動したコミュニケーション活動を展開するなど、事業とコミュニケーション活動が両軸で推進している点を高く評価しました。また、そのブランドガバナンスの体制も、本社を中核として事業軸・エリア軸のマトリックス組織でブランドコミュニケーションの管理を行う仕組みづくりは、日本発でグローバルにブランドを強化しようとする多くの日本企業にとって、参考となるのでないかと考えます。