We give our clients the confidence to make Iconic Moves

WORKMAN Plus – Japan Branding Award

更なるビジネス成長を目的に掲げた「中期業態変革ビジョン」実現に向けた新業態ブランドの確立をお客様の声を聞き、向かい合うことで新ブランドの提供価値を明らかにしながら、これまでの社員の既成概念を打ち破りながら進めたブランディング活動

課題背景

作業服専門店WORKMANの店舗は目標の1000店舗に近づく一方で、主要顧客である建設労働者は高齢化が進み、近い将来成長の頭打ちが起こると考え、現在の中高年男性中心としたプロ顧客から、一般の方、女性にも客層を拡げる必要があった。新ブランドを考える上で、実際の顧客の使用状況を調べてみると、仕事着としてだけでなく、アウトドアやスポーツに使用していることが判明した。同時に作業服業界に隣接するアウトドアウエアの普及価格帯は競合が存在しないことが判明したが、最大の参入障壁は同社の既得のブランドイメージである「作業服の店」であることだと考え、新たなイメージへ「拡張」する活動をスタート。

組織体制

新ブランドの成功に必要だと考える新たなイメージの構築と、一貫したブランド体験の場づくりを目的として、社長をトップとした全社横断の「WORKMAN Plus運営会議」を開設。ブランドシンボルの使用ルールを定め、全社管理する体制を構築した。同時に新ブランドに内在的な「ストーリー性」を持たせるため、言語面においても基準をつくり、それを各部署の責任者が実情に合わせ修正を行いながらも、管理する汎用性を伴った対応も実行した。お客様の声を生かすために、お客様の代表者である「アンバサダー」の意見を活かし開発する体制構築も行った。

戦略・実行

新しいお客様の獲得に対して必要なコンセプトとして「カジュアルウエアに、プロ品質を」という新たなコンセプトを開発し、そのイメージ浸透を目的に「シンプル」、「屋外」、「リラックス」、「等身大」の世界観の策定を行った。事業ミッションも従来の「働く人に、便利さを」から「機能と価格に新基準」に再定義を行い、「作業服」から「機能ウエア」にドメインの転換を社内外で発表し、コンセプトの浸透をより円滑に行う土台をつくり上げた。
また「一番大切なのはお客様」という観点から、お客様の代表である「アンバサダー」を軸にし、その声を商品開発、店舗での体験改善などに活かすためのマーケティング活動を展開。実体験の店舗を中心とした「空間戦略」と、ファン同士のコミュニティを狙ったSNS発信者に絞り込む「デジタル戦略」を中心に「あなたの知らないワークマン」というテーマで新ブランドの世界観を発信した。その後、有力ブロガー、ユーチューバー、インスタグラマーをアンバサダーに就任させ、その情報発信で「お客様が製品を作るブランド」「お客様に近いブランド」というスタンスを貫く活動を推進した。

活動の成果

2018年3月期から2020年3月期決算の2年間で、チェーン全店売上は53%増加、経常利益は74%増加。既存店舗の1店舗平均年間売上は 9,991万円から13,975万円に増加。「客層拡大」のため女性比率を40%以上、また40歳以下の比率を25%以上にする目標を設定したが、開店3ヶ月後の1号店の調査では各々51.1%と30.3%と目標を達成した。ブランド戦略の注力施策であるアンバサダーマーケティングが、売上伸び率の半分をデジタルでの情報発信によるSNSの評判が貢献するなど大きな効果に結びついている。

ご担当者様コメント

「WORKMAN」と「WORKMAN Plus」で1100店、「#ワークマン女子」で400店と今後も成長を続ける各ブランドのイメージ構築、お客様にとっての棲み分けが、今後の課題です。これまで40年間進めてきた「圧倒的なマニュアル管理」、「ワンボイス化」を行ってきたベースがあり、厳格なルールを設定せずともそれをオペレーションできる「カルチャー」が存在していることが今回の成功の要因の一つであると思っています。
本活動は、経営陣が「それ以外はやらなくて良い」と宣言し、役員が真っ先にスーツを脱ぎPBを着用し先頭に立ち推進したことも、当社らしいエピソードなのではないかと思います。

評価コメント

お客様の要求を満たすブランドをつくり上げるには何が必要か、その答えの一つとしてWORKMANが導き出したお客様の代表として「アンバサダー」を軸に、その意見を取り入れ、かつスピーディーに商品開発や店舗開発に活かす対応は、まさに「顧客中心主義経営」を軸としたブランディングを展開されている点を高く評価しました。今日求められるブランディングの一つの形を具現化することでビジネス成長に結びつけていると言っても過言ではないでしょう。クリエイティブ面など大きな方針を定める中で、厳格なルール規定に縛られることなく、大きくブレない全社活動が展開できているのは、トップのコミットメントによる強いリーダーシップだけではなく、40年間非常に厳格に醸成されてきた同社の「カルチャー」があってこそだと考えます。