We give our clients the confidence to make Iconic Moves

Yamaha – Japan Branding Award

ブランドを経営の重要なアジェンダに位置付け、ブランドプロミスの実践をグローバルレベルの全社活動として仕組み化することで、社内のブランドロイヤルティの向上と、社外への一貫したコミュニケーション発信を両立したブランド活動

課題背景

130年を超える歴史をもつ楽器音響メーカーとしてグローバルで認知されているが、調査を行ったところ、機能的イメージに比べて情緒的なイメージが弱いことが分かり、課題視していた。経営ビジョン「なくてはならない、個性輝く企業になる」の実現に向けて、①お客様との情緒的繋がりの弱さ、②新たなお客様との接点の希薄さ、③事業が多岐に渡る中でのヤマハとして一貫性に欠くコミュニケーション、この3つの課題解決に向けたブランディングを開始した。

組織体制

中期経営計画の中で「ブランド」を重要なアジェンダとして掲げ、社長を委員長、各本部長を中心メンバーとした「ブランド戦略委員会」を組織し、社長を筆頭とする経営層が定期的にブランドの現状を共有し、戦略を議論する場を設けた。さらに社長を本部長として140名からなるブランド戦略本部が戦略推進を担うこととなり、傘下にはブランディングに重要な役割を担うマーケティング部門、コーポレートコミュニケーション部門、デザイン部門が組み込まれた。またヤマハ発動機株式会社とも別途、合同ブランド委員会を組織し「ヤマハのブランド価値を高める」両社合同の取り組みを議論・展開している。

戦略・実行

中期経営計画の重点戦略のひとつ「顧客と広く、深く、長く繋がる」のもと、ブランドプロミスに基づいた一貫した戦略を浸透・実践・管理し、顧客の心に響く体験の創出に取り組んでいる。社内向けには、ブランドに関する規程を見直し、国内外の全グループ各社および本社基幹部門に担当を配置、ブランド管理体制を整備した。そして各国の販売子会社を中心にのべ約1,000名にブランド研修を行ったほか、10月を「ブランド月間」として、Yamaha Day等のイベントを通して従業員一人一人がブランドを考える機会を設定している。また社外に向けては、ブランドプロミスを踏まえたブランドコンテンツや企業広告を制作し、デジタルの特性を活かしながらグローバルにコミュニケーションを展開している。そして各種ルールやマネジメントのインタビュー動画、浸透ツール、各国での展開事例など、ブランドに関連するコンテンツは社内向けブランドポータルサイト「ブランドハブ」に情報を集約。常にアップデートされ、社内の誰でもいつでも参照出来るようになっている。

活動の成果

ブランドプロミスであるMake Wavesが全社の経営戦略の中心として捉えられたことが大きな成果であり、中期経営計画のタイトル自体にも採用されている。個別施策の成果としては、毎年米国で開催される楽器の国際見本市NAMM Show 2020のアンケートで、「ブース訪問後に感じた気持ちを形容詞で書いてください」という設問に対し、’Excited’や’Happy’、’Good’、’Impressed’など今までにないエモーショナルな形容詞を多数獲得し、課題の一つであったお客様との情緒的繋がりの弱さを克服し始めている。さらに、全体成果としては、インターブランド社Best Japan Brands 2020ランキングにおいてブランド価値対前年+15%を達成した。

ご担当者様コメント

自分たちがこれまで行ってきたブランディング活動について外部の客観的評価をいただきたく、応募しました。2020年夏以降、旗艦店であるヤマハ銀座店のリニューアル(モノから体験価値の訴求へシフト。ブランド体験エリアを新設)、遠隔合奏サービス「SYNCROOM」、バーチャルライブを愉しめる「Distance Viewing」のローンチなど、様々なタッチポイントへの「体験」を展開してきており、今後も継続的にカスタマーセントリックな体験訴求を行なっていきます。

評価コメント

組織づくりや社内の巻き込みは、トップから世界の生産現場まで必要なステークホルダーを含め計画的にかつグローバルレベルで実現できており、中計で定めた「顧客接点の強化~ブランドプロミスを通じたブランド訴求」を実際の体験づくりとして実践していく仕組みが整っているなど、実現に向けた体制、プロセス構築を特に評価しました。さらに、スローガンやVIに留まらず、プロミス構築、世界観の構築やメッセージ、コンテンツまで一貫性を有する浸透を意識した本格的なアプローチがなされており、ビジュアルやメッセージからサービスの提供や体験づくりまで、社内外を含め取り組まれています。今年の大きな取り組みの一つである、銀座の旗艦店での体験づくり実行が、本評価対象期間以降に予定されており、こうしたお客様とのダイレクトな体験づくりの強化も多いに期待されます。