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龍谷大学

2012年度から取り組んできたブランディングを、創立400周年を迎える2039年を目指した長期計画「龍谷大学基本構想400」の実現に沿って発展させたブランド再構築活動

課題背景

2017年度のトラッキング調査の結果から、ブランディングの学内浸透は進んだものの、他大学の追随により外部からのブランドに対する認知、イメージが同質化している傾向が見られ、個性化、特色化を図ることが課題となっていた。また、新たな長期計画である「龍谷大学基本構想400」が策定されたことに伴い、その達成に向けたブランド視点でのブランディング再構築が必要となった。

組織体制

ブランディングを経営戦略の中核とし、常任理事会をあげて注力する全学的な活動として位置づけている。学長の下に設置されている広報委員会が素案の作成・提案を行い、常任理事会で責任をもって審議、決定。各部局に広報責任者・広報担当者を置き、各部局が部署のブランディングを責任をもって担う体制をとっている。

戦略・実行

龍谷大学が創立400周年を迎える2039年度末までの20年間の時間軸で展開していく超長期計画「龍谷大学基本構想400」が2020年度からスタート。2039年の将来ビジョンとして「「まごころ~Magokoro~」ある市民を育み、新たな知と価値の創造を図ることで、あらゆる「壁」や「違い」を乗り越え、世界の平和に寄与するプラットフォームとなる。」という、目指す姿を掲げ、これを社会に発信していくリブランディングがスタートした。「龍谷大学基本構想400」は学生と教職員の共創により、将来、大学を中心に担っていく9学部1短期大学部の若手中堅の教員と職員でワークショップを実施し、企画部門が中心となりながら、構想400を策定。
ブランディングにおいては、外部調査も実施し、課題である他大学との差別化を意識しながら、何を目指していくかを言語化、視覚化で発信できるよう、改めてブランドコンセプト、スローガンを見直し、継続するものは残しつつ、足りていなかった龍谷大学の提供価値や目指す姿をブランドストーリーとして新たに補強した。
新しい長期計画の開始時、コロナ禍で苦しむ学生に対して給付奨学金や経済支援奨学金を用意。「学生応援方策検討ワーキング」も発足し、食生活に不安を抱えている学生のために「食支援プロジェクト」を開始。自粛期間中のフードロスに悩む20社を超える企業・団体の賛同による食材提供を受け、一人暮らしの学生・留学生に対して食材を無償で配布。約3か月間に渡る食支援は、延べ6000名近くの学生に対し、約52000食を配った。本取り組みはブランディングを進める上での基盤形成となった。 その後、コロナ禍においてオンライン放送による日本の大学初のオープンキャンパスを実施し、高校生がオンラインで本学のブランディングを体験できる機会の迅速な創出、オウンドメディア「ReTACTION」の開設等、様々な活動に取り組んでいる。

活動の成果

大学ブランド・イメージ調査におけるランキング順位(有職者編)が、2019年度15位から2020年度以後13位と過去最高の順位を維持している。中でも最新の2021年度調査では「地域貢献」のスコアが前年度9位から4位に上昇した(近畿圏全66大学中)。入試志願者数は2021入試私立大志願者数ランキングで、56379名と全国12位(前年度16位、53281名)。
また、大学の社会貢献の取り組みをSDGsを用いて可視化する「THEインパクトランキング2021」では総合順位で国内私大5位にランクイン。
学内浸透に関しては、学内の教職員を対象とする情報イントラサイトに新しいブランディングに係るあらゆるアイテムデータを格納し、誰もがブランドに触れあえる機会を創出し、構成員の龍谷ブランドへの一体感、連帯感を醸成している。

ご担当者様コメント

「龍谷大学基本構想400」では「仏教 SDGs」を推進し、社会の課題解決を主目的とした「ソーシャルビジネス」の起業支援に力を入れている。「ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター」を設立し社会問題の解決に取り組む中小企業を可視化する「ソーシャル企業認証制度」を創設した。このような構想400に沿った取り組みをブランディングを通じて社会に発信していきながら龍谷大学が目指すイメージの浸透に繋げていきたい。また、2023年に心理学部を新しく開設する予定である。対人支援のためのコミュニケーションスキルを身につけ、現代社会が抱える心理的課題に積極的に対応できる人材を育成していく。このような社会状況の中で仏教をベースにした龍谷大学だからこそできる新しい教学展開を行い、構想400を体現していく。

評価コメント

2012年スタートのブランディングは、2039年の将来ビジョン達成に向けた長期計画「龍谷大学基本構想400」実現に向けたブランディングに進化し、ブランドの世界観「リアルな問題に目を向け、社会にインパクトをもたらす大学」に基づき、言語化と視覚化の基盤開発と浸透体制ができています。また、大学が考える社会貢献をテーマとしてコロナ禍においても具体的な取り組みを継続し、社会にインパクトを与えている点を高く評価します。またコロナ禍での学生支援なども素晴らしく、「仏教 SDGs」を掲げて、CSVの視点で社会的な責任を果たしながらブランドの評価を高める活動や、ソーシャルビジネスの企業支援など、実体を伴う活動にブランドの考え方が強く根差している点や、活動の成果が入試志願者ランキング、イメージランキングの上昇と確実に成果に結びついている点も併せて評価しました。