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ASICS

「人生100年時代」を迎え、創業理念に立ち返り、改めて心と身体が健康であり続けられる世界の実現に向け、モノづくり、コミュニケーション、デジタルを活用した顧客、アスリートとの共創の仕組みを経営に取り入れ成長を加速させた活動

課題・背景

アシックスは2020年12月期、コロナ渦において厳しい経営状況にあった。創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし」のもと、アスリート向けプロダクトのビジネスを中心に、コロナを経て増加した健康への関心の高まり・多様なライフスタイルへの適応といった生活者のニーズの変化を捉え、心と身体の健康実現に向けたブランド構築、顧客理解と関係深化に取り組んだ。

戦略

創業哲学を中心に据え、アシックスの将来ありたい姿を2020年に「VISION2030」として策定。そのプロセスでは、社内の興味関心を喚起すること、健康に関わる新たな社会課題に対応することを目的に社内アンケートを実施し、全社で共創しながら今後のありたい姿を定めた。創業哲学を原点としたブランドスローガン「Sound Mind, Sound Body」を据え、スポーツがメンタルに与える影響に関する調査や、モノとサービスの設計指針「ASICS DESIGN PHILOSOPHY」のもとカラダとココロの両方にとって最高の感覚をもたらす商品を展開し、お客さまに機能的な価値とともに情緒的な価値や研究開発ストーリーを伝えることを目指している。並行し、「One ASICS」を軸にすべてのランナーにライフタイムでサポートするサービスをオンライン/オフラインで展開するなど、ブランド体験価値向上に向けた取り組みを行っている。

実践

モノづくりにおいては、 VISION2030「誰もが一生涯、運動・スポーツに関わり、心と身体が健康でい続けられる世界の実現」という方針のもと、「科学的に速く走れる」だけではなく、感覚的な印象についてもお客様の声を取り入れ、ユーザーテストを繰り返した商品開発を実践している。そうしたモノづくりの姿勢や情熱、創意工夫に対して、アシックスに相談し、商品を利用したアスリートから賞賛の言葉がSNSでも投稿され、社内外へのエンゲージメントにも繋がった。また、組織・運営体制については、各カテゴリー/リージョンが全体最適で動けるように、それまでのカテゴリーとリージョンそれぞれ最適を目指した経営体制から、「Global Integrated Enterprise への変革」という方針のもとグローバル経営体制へと変革を行っている。

成果

ブランドスローガン(Sound Mind、Sound Body)と、ブランドパフォーマンスの関係をブランドKPIとして定め、定点観測を行い、全社共有している。また、One ASICSを通じた独自のシステムで得られたデータ分析により、運動がメンタルに与える影響を数値化する等、アシックスが掲げているVISION2030そのものの健康に与える影響を証明している。以上のような様々な取り組みを通じて、ビジネスへのインパクトとしては、営業利益額が2021年比2.47倍、営業利益率 同 1.76倍と、ブランディングの取組がビジネス成果につながっている。

評価コメント

スポーツに関わる領域の企業としてはある意味、「人々の健康」に資する活動をすることは使命であるともいえるが、本取り組みの特筆すべきポイントは「人生100年時代」を迎え、より健康寿命の延伸が国の方針として定められている中、創業理念に立ち返って改めて心と身体が健康であり続けられる世界の実現に向けて、モノづくり、コミュニケーション、デジタルを活用した顧客との共創の仕組みを経営として取り入れるなど、ASICSらしいアプローチで取り組んだ点であると言えよう。健康寿命の延伸という社会課題に向けて、今後もさらなる取り組みを通じてより多くの生活者の健康に寄与されていくことを期待している。