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YANMAR

グローバル社員の中に、創業からの考えでもある「モノ・技術」が中心ではなく「社員」「人」を支えていくことがヤンマーの根本の考えであることを、マルチなタッチポイントと日本らしさを活かしたアイデアを取り込みながら浸透させ、従業員の意識変革に挑んだ活動 

課題・背景

2012年の創業100周年を機に大規模なリブランディングを実施。社外でも大きな反響を得たにもかかわらずヤンマーの認知度は低下。一方で社内では「自分たちの取り組み」とは認識されておらず、経営の大きな課題として捉えていた。そこで、現状を客観的に評価することから始め、今回の活動に取り組んだ。

戦略

ブランドステートメント「A SUSTAINABLE FUTURE -テクノロジーで、新しい豊かさへ。-」が制定された2014年当時はテクノロジーを全面に押し出していたが、そもそもヤンマーのビジョンはテクノロジーで産業機械をつくることが目的ではなく、テクノロジーで人に寄り添い課題を解決することである。そのうえで、人と自然が共生し、豊かに暮らせる社会の実現を目指している。そこで、ヤンマーの根底にある価値観をあらためて「HANASAKA」という言葉で表現し、「人」を中心としたブランド展開で、社内の意識を一つにすることに取り組んだ。HANASAKAは、人と未来を咲かせるために、次の世代を育て、未知の可能性を信じ、未来をワクワクできるものに変えていくという価値観である。

実践

社員の理解を十分に引き出し、主体的になってもらうためにHANASAKA WORKSHOPを世界中で開催した。各エリア・事業からキーマンが参加し、自分にとってのHANASAKAやアクションを考えるワークなどを実施した。また、HANASAKA理解促進ツールとしてデジタルデバイスを業務で使用しない社員にも届くよう、バインダータイプのHANASAKA BOOKを20,500人へ配布し、さらに個人のスマホでもアクセスできる専用アプリも作成した。2025年度中にグローバル展開することを予定している。 対外的にはオウンドメディアである「Y media」でも情報を発信。さらに、キャラクター「ヤン坊マー坊」リニューアルし、一般層を巻き込んだ投票で新デザインを決定したり、ヤンマー主導のアニメ「未ル」の制作によって若年層とのタッチポイント強化を図っている。

成果

HANASAKAの発信拠点としてYANMAR TOKYOの開業を実現したが、これは、ヤンマー史上、最大規模の記者会見となった。また新ヤン坊マー坊を決定する公開投票には7.6万票以上の応募あり、社内外で注目を集めた。アニメ「未ル」についても高い関心を得ている。 インターナルでは、グループ全体のエンゲージメントスコアの向上(2023年:27.8%→2024年:32.4%)、HANASAKA WORKSHOPでのHANASAKA理解度向上(実施前:24%→実施後:97%)を実現することができた。ビジネス面では、2024年3月期の連結売上高が前年比5.8%増の1兆814億円、経常利益は同30%増加の804億円となっている。

評価コメント

2012年からのブランド戦略の中で制定した「A Sustainable Future」の実現に向けて取り組む中、社員へのブランド理解を高めるため、ヤンマーの根底にある価値観を言い表した「HANASAKA」プロジェクトを推進。一連の活動を通じて、グローバル社員の中に、創業からの考えでもある「モノ・技術」が中心はなく「社員」「人」を支えていくことがヤンマーの根本の考えであることを浸透させ、従業員の意識変革に挑んだブランディングであると言える。ビジネス的にはグローバルでの取り組み強化を進めていく中、今回グローバルを巻き込んでのブランディング活動がうまく連動し、業績向上にも結びついていると推察される。