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Asahi

佐藤 輝 様
アサヒグループホールディングス株式会社
Executive Officer Head of Strategy

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

事業環境としては世界的に向かい風の中、企業収益を上げ、長期的な成長を目指すことがますます難しくなっていることを実感しています。しかし、コスト面でディフェンシブになっていかざるを得ない状況の中でも、注力しているブランドへの投資は緩めませんでした。それがお客様の支持につながったと感じています。また、Asahi Super Dry 0.0%や生ジョッキ缶のグローバル展開など、製品面でも新しいイノベーションを世に送り出せた意義深い1年になりました。 

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

当社はこれまで、日本・欧州・オセアニア・東南アジアの各リージョン単位で事業競争力を高めつつ、地域内でのシナジーを創出する体制を構築してきましたが、この4月からは、リージョンの足し算ではなく、それを超える企業価値の最大化を目指すために、グループ本社の執行体制を刷新することになりました。これはグループが世界で戦っていく決意であり、変革です。真にグローバルなコーポレートブランドを確立するためのスタートは切れたかなと思います。 

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

日本では、飲み方の多様性を尊重する「スマートドリンキング」を提唱し、アルコールテイスト飲料をはじめとした多様なラインアップを強化。お酒を飲む人も飲まない人も一緒に楽しめる社会の実現を目指して多様な活動を続けていますが、さらに広がりのあるものにしていかないといけません。我々が提唱する「スマートドリンキング」に関して、Reason to Believeを事実として積み重ねていくことが必要だと感じています。 
またボトルの軽量化やラベルレスなどの様々な取り組みを進めていますが、もっと本質的なコミュニケーション、さらにはサステナビリティと経営の統合のためには、まだまだ事例を積み上げ切れていないと感じています。これが次のステップですね。

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

コロナ禍を機に、ワークライフバランスは、明らかに進みました。リモートワークもその一つです。ただ、世代を問わず、リアルなコミュニケーションの有益さを、あらためて認識すべきだと言う声も上がってきています。会社としては仕組みを整備しますが、バランスをとる上では社員の自立、自律も必要です。いずれにせよ、かつてのように新卒で入社し、定年まで勤め上げる揺るぎない働き方はもはやスタンダードではありません。いろんな能力を持つ多様な人材の採用も進めているなか、当然、ロイヤリティのあり方も大きく変わっています。それを活かす形で、会社も変わり続けなければならないと考えています。 

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

この数年、Asahi Groupというブランドを真にグローバルなコーポレートブランドへ成長させることを目的に、私たちはアサヒグループホールディングスの最上位のフィロソフィーであるAGPを基軸に、組織を横断して繰り返し討議を行い、表彰制度なども導入してきました。その結果、ブランドに対して答えられる内容も、課題も一定の整理ができたと考えています。浸透は長い時間をかけてやっていくものなので、まだまだこれからですが、さらなる実体化のためには、やはり事実を積み上げていくことに尽きるでしょう。ヘリテージを持ったローカルブランドの集合体ではなく、そこに相乗効果を生み出すことによってAsahi Groupというコーポレートブランドのプレゼンスをどう高めていくべきか。今年は、その弾みを付ける年にしたいですね。アクセルは、踏み続けなければ、スピードは出ませんから。