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Daiwa House

泉本 圭介 様
大和ハウス工業株式会社
執行役員 経営管理本部総合宣伝部長

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

「変化」は常に起こっています。特にここ数年の変化は、あたりまえの日常の定義が大きく変わり、ほんの数年前の普通の暮らしが、今では普通でなくなりました。不確実で、複雑で、予測不能な時代といわれていますが、時代は変転するものだと素直に受け入れてしまえば、生活や暮らしに寄り添って成長してきた私たちにとっては、この変転極まりない時代こそ大きなチャンスだとポジティブに捉えています。今を懸命に生きる社会と真摯に向き合うことでしか新しい価値は生み出せないということを、あらためて実感しています。 

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

創業以来、住まいを中心にお客さまの大切な資産を数多くつくってきました。その資産の価値を維持し、永く使い続けてもらうための動きがますます強まってきています。たとえば、開発から50年を超える全国各地の大型住宅団地「ネオポリス」の再生プロジェクトでは、「再耕」をキーワードに、成熟した街のこれからの在り方などを住民と丁寧に対話を重ねてながら、共により良い生き方を追究し始めています。対応する領域や範囲は変わりませんが、事業の本質は「再生・循環」へとシフトしています。 

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

私たちはハウスメーカー、ゼネコン、ディベロッパーと、いくつもの経営資源を有する複合事業体です。日本国内のみならず世界各国におよそ500弱のグループ企業がそれぞれの領域で事業を進めています。多岐にわたる事業群で社会の変化に応えられる多様性・柔軟性が強みです。すべての顧客接点でグループ共通の経営シンボル「エンドレスハート」が輝くよう、ブランドマネジメントを徹底することで、グループをひとつに束ね、さらなる経営の一体感を醸成し、あらゆる社会の変化に対応しています。 
複合事業体の宿命かもしれませんが、ブランディングにおいては事業ごとの部分最適が優先され、全体としての最適化が課題です。またグローバルにおいては、文化の違いに配慮しながらブランドマネジメントを実行していかなければなりません。統一シンボル「エンドレスハート」を導入し間もなく20年目を迎えます。次のステージに進むべく、新たな施策を模索する時期にきていると感じています。 

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

改正労働基準法の時間外労働の上限規制が、今年4月から建設業にも適用されます。当社だけではなく建設業界全体の課題ですが、私たちはすでに業界の先駆けとして建設DX化を推進しており、いよいよ現場の効率化・生産性向上を現実のものとして実現しなければならない時がきました。業界のトップランナーとしての使命感を持ち、これからの働き方改革を進めていけば、建設業界全体のイメージは大きく変わってくるでしょう。 
在宅テレワークが働き方の選択肢として定着したことでワークライフバランスの実践や業務効率化が向上したことは非常に良いことだと思います。ただ一方で、そういった効率化を重視すればするほど、直接的な対話力や現場の肌感覚などの「現場感性」が鈍ってくることを懸念しています。世の中を直視し行動する姿勢がますます大事になってくるのではないでしょうか。 

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

私たちには創業から今日まで受け継がれてきた「創業者精神」があります。事業活動のあらゆる場面でひとつの行動指針となっており、全役職員に時間をかけて深く浸透していったものです。昨今論じられている「パーパス」を重視する経営手法は理解できますが、言葉遊びにならないよう本質の部分をしっかりと捉え、事業活動に結びつけることが重要だと考えます。 
ワードだけが先行し、広告キャンペーンにならないよう丁寧に育てていくことが最も重要で、何かの「取り組み」ひとつで浸透するものではないと考えます。