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Fujitsu

山本 多絵子 様
富士通株式会社
執行役員 EVP CMO
兼 グローバルマーケティング本部長

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

2020年に「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスを策定して以来、「パーパス経営」と「プロダクトからサービスビジネスへの転換」を標榜し、海外も含めて大きな変革をしてきました。ビジネスは好調で、サステナビリティをビジネスと連結し、社会的なインパクトも創出できた数年だったと考えています。 
WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)主催のPACT(炭素の透明性のためのパートナーシップ)のメンバーとして、サプライチェーン全体のCO2排出量の可視化の社会実装を世界で初めて実現したのは、その一例です。 
昨年は、新中期経営計画を発表。そこで提示した「マテリアリティ*」を実現するテクノロジーカンパニーをめざして、ブランドをどんどんリアルにすべく、動き出しています。 

*マテリアリティ:経営において優先的に取り組む課題 

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

私たちの変革の象徴といえる「Fujitsu Uvance(フジツウ ユーバンス)」の特徴は、クロスオファリングにあります。たとえば医療機関、製薬企業、健保組合や自治体はいずれもDX化を推進していますが、それぞれの間には壁があってつながっていません。その壁をテクノロジーの力で壊し、つなぐのが「Fujitsu Uvance」。対応する領域や範囲はどんどん拡がっています。 
また、社内組織も従来の産業別チーム編成を見直し、カスタマーサクセスビジネスグループが業種カテゴリーを越えて、顧客の享受価値に対応したサービスをお届けできる体制も整え始めています。 

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

この2月、想定を越える社会や人々の変化を踏まえて最新の「AI戦略 2024」を発表。最先端技術と人との関係性と向き合い、グローバルな社会課題解決に取り組んでいく決意を表明しました。 
富士通のAIには、30年以上蓄積した独自の技術、世界最高レベルのコンピューティング力との相乗効果、そして7,000件以上の実績があります。それを梃に、いま話題の生成AIで課題とされるセキュリティや倫理へのガバナンスを追求し、「バディ」として信頼できるAIをブランド価値として押し出していきたいと考えています。 

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

この数年で、社内カルチャーは大きく変革しました。それができたのは、トップダウン、ボトムアップ両面での取り組みがあったからでしょう。 
トップダウンが、パーパスであることは言うまでもありませんが、人事制度の変革も大きな役割を果たしています。 
本人が実現したいキャリアプランを自律的に考え、異動や幹部社員昇格を目指す「ポスティング制度」が2020年から始まり、すでにグループ(日本)の約1/10がポスティングを利用して自らが描いたキャリアデザインを実現しています。 
また、社内のZ世代社員が集まり2023年2月に立ちあがった「Fujitsu Gen Z Community」も、カルチャー変革を象徴するムーブメントです。新しい発想で企業や大学とのコラボレーションを次々に実現させる彼らの自由でカジュアルなスタイルは、過去のカルチャーに染まった世代に気づきを与え、社内の常識を変えるインパクトになっています。 

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

パーパスの浸透度は100%に近いと言ってよいのではないでしょうか。お客様へのプレゼンテーションから人事制度に至るまで、富士通のすべて活動は、パーパスドリブンとなっています。 
とりわけブランドとして誇りに感じているのは、「Fujitsu Uvance」から多様なソリューションが生まれるなど、パーパスが事業活動に結びつき、ビジネスとして結果を出すことにつながっている点です。 
パーパス実現への取り組みを、事業活動や非財務のKPI等に落とし込んだ「価値創造モデル」も策定しました。お客様、社会と共によりよい未来をつくるために、挑戦を続けていきます。