We give our clients the confidence to make Iconic Moves
49

Kikkoman

大津山 厚 様
キッコーマン株式会社
執行役員 経営企画室
コーポレート政策推進担当部長

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

需要の変化を迅速にとらえ、商品を安定的に届けるという事業活動の基本の重要性を再認識しました。たとえば、コロナ感染の拡大当初は、内食化が国内外で進み、需要に応えることの責務が求められ、結果としてブランド力の成長にもつながりました。 
国内においては、原材料高に加えての円安や、原材料調達、適切な価格改定等への企業努力を迫られる厳しい経営環境が続きました。 
価格改定後の市場浸透に努める一方で、新たな価値を創出した新商品開発などによるいっそうのブランド力強化が求められていると思います。 

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

国際事業の成長が持続する中、レシピ、食情報、企業活動をグローバルにコミュニケーションすることを加速しています。社会課題の解決が、広く求められるなかで、地球社会のかかえる環境問題等の解決に取り組むことがいっそう求められてきます。 
事業活動の中心にある「食と健康」を軸に、商品、レシピの開発・提供によりいっそう注力していきたいと考えています。具体例としては、「毎日の食と健康に困ったら、キッコーマンにきく」という消費者との信頼関係を構築するべくレシピサイト「ホームクッキング」を、こころとからだの健康・健やかな食生活という視点で充実させていきます。 

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

買い物、料理、食事などの食シーンにおける顧客接点を充実させるため、デジタル技術を活用したブランド・コミュニケーションを強化しています。多様なお客様のニーズに応えるため、栄養素摂取の過不足や、食・料理に関連するストレス、アレルギー、ハラル対応などを解決するレシピ、商品の提供に注力しています。 
また、「おいしい記憶をつくりたい。」というコーポレートスローガンを、消費者の実体験に基づくエッセーや映像を交えながら、発信し続けることで、私たちの思いを、時空を超えてお客様と共有しています。商品やレシピなどの提供と併せて、理念を共有することでも、食でお客様のしあわせに貢献することにつなげていきたいと思っています。 

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

コロナ禍の影響もあり、グループ内の組織によっては、社員のコミュニケーション不足が顕在化しました。コミュニケーションの充実をキッコーマングループの課題としてとらえ、コミュニケーション活性化のための全社運動をCEOが先頭に立ち、展開しています。それに関連して、心理的安全性を重視し、課題感のある組織については、組織に所属する全員がその重要性を認識し、行動につなげるように、当該組織のトップ及びリーダーが意思表明をしています。さらに、実質的な改善を進めるため、複数の職場のリーダーたちが、それぞれの改善策を意見交換することにより、情報共有して、オープンで透明なコミュニケーションの場を設ける機会を創出しています。 

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

中野祥三郎 現取締役社長CEOは、2021年6月のCOO就任以来、キッコーマンの約束、グローバルビジョン2030実現のために、各組織、各職場の2-3年後のありたい姿、人材育成と、それを実現するための方策を明記した組織活性化ビジョンについて、400人を超えるリーダーと対話を重ねてきました。CEOは、各リーダーに、その所属の全メンバーとビジョンを討議し、共有して、ビジョンのありたい姿を実現するように、繰り返し説いてきました。 
社長対話の機会とは別に、コミュニケーション活性化のための研修も展開しています。ブランドプロミス、ブランドスローガンや、そこに紐づく組織のビジョン実現、心理的安全性向上をテーマにした討議を行い、コミュニケーションの先にある、組織活性化ビジョンや、ブランドプロミスの実現を意識付ける機会にもしています。