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Mazda

青山 裕大 様
マツダ株式会社
取締役専務執行役員

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

最も大きな変化があったのは米国です。「新世代店舗」への変化のスピードに加え、米国にフォーカスした商品、販売、マーケティング、ビジネス、台数成長も実現。すべてが足並みを揃えて成果に結びつけることが出来ました。また、コロナ禍の半導体不足、輸送能力の逼迫などの制約をポジティブに使って、オペレーションの質の向上が図れたことも成果のひとつです。 
2016年からインセンティブを抑制し、商品力を高め、地道にブランドの浸透活動を続けてきましたが、その戦略を「変えないこと、やめないこと」が、独立系ディーラー各社の理解と共感に繋がり、ようやく功を奏したと感じています。 

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

ブランディングについて、以前はマーケティング部門がリードしていましたが、昨年からは経営と人事もコミットし、パーパスを達成することは財務戦略に至るまで、企業活動全般の目標となりました。 

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

自己実現や自分を主語とする成長を求めていた社会から、地域やコミュニティとの共存共栄を求める社会へ、時代の要請は大きく変わっています。そこに立脚した活動を通して、ステークホルダーが幸せに生活できる基盤をつくっていくために経営資源を傾注していきます。 
カーボンニュートラルの追求や電動化もそのひとつですが、より先を見据えるなら、ハードウェアとしてのクルマの価値だけでなく、より長くクルマを使っていただくためのソフトや体験的価値に対価を払っていただけるようにビジネスモデルを進化させなければならないと思っています。 
一方で自動車会社の相次ぐ不正に対する社会の不信感を払拭するために、規制を越える体制づくりを進め、環境や安全とともに高次元のエシックスを追求していきます。 

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

新しいパーパスは新しいジェネレーションが中心となって策定しましたが、次の10年につながるものが出来たと感じています。パーパスを業務の変革に活かすのはこれからですが、ハードウェアだけでなく、体験やコトも含めた「お客様の歓び」に貢献していこうという動きはすでに始まっており、パーパスを単なるスローガンではなく自身の行動を変えるトリガーにしていこうとする萌芽は感じています。究極的には、自分が個人としてめざすことがパーパスにつながっていくことで、エンゲージメントをより高めていければと願っています。 

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

MAZDAでは、2013年からブランド価値経営を掲げてきましたが、当初、大きく変わったのは開発部門です。クルマづくりのコンセプトが、競合とのスペック比較から「顧客の人生の輝きをいかに創り出すか」にがらりと変わり、ブランドの力を実感したものです。あれから時代が変わり中核になる世代も変わる中、新陳代謝を経てもブランドを受け継いでいく仕組みを作るために、昨年は企業理念を再定義。「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」というパーパスを発表しました。 
ブランディングの要諦は、まずトップがそれを信じ、自分の言葉でパッションを語れること。そのパッションがリーダーたちに連鎖し、語れる集団をつくっていくことで、「じぶんごと化」していくものだと思います。 
前回のブランディングは日本のヘッドクォーターが主導してきたため、特に海外での浸透には苦労しました。そこで、今回は最初から海外リージョンを巻き込み、パーパスはまず英語でつくり、それを日本語にローカライズしたのです。海外からも、自分たちもオーナーシップを持ってブランディングに取り組めるという評価をもらい、主体的にパーパスを取り込んだ業務改善やコミュニケーションを推進する動きが出始めています。 
ブランドをさらに浸透させていくことで、すべての領域、すべてのリージョンを巻き込んで、「走る歓び」の価値を「生きる歓び」にまで広げ、人々の生活を、そして未来をより豊かにすることに貢献していける。わたしも、そう信じています。