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Nikon

馬立 稔和 様
株式会社ニコン
代表取締役 兼 社長執行役員

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

ニコンは、2030年のありたい姿として「人と機械が共創する社会の中心企業」を掲げています。昨年はその実現に向けて様々な事業の動きがありました。
ありたい姿の中核を担うデジタルマニュファクチャリング事業では、金属3Dプリンター大手のドイツ・SLM Solutions Group AGの買収による収益増と事業強化を実施。また、映像事業では中高級機種に経営資源を集中しプロ・趣味層を中心に売り上げを伸ばすことができました。
また2023年はコーポレート全体としても様々な発信を行った年です。特に俳優を起用した新CMでは、ニコンの強みである「光の力」で、半導体製造装置や再生医療用細胞など、幅広い分野で無限の可能性に挑み続け、社会を支えるニコンの姿を伝え始めています。

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

まだまだカメラのイメージが強い弊社ですが、事業の多角化は確実に進んでいます。コアコンピタンスである光利用技術と精密技術を活かし、細胞の受託生産や創薬支援、材料加工やロボットビジョン開発、映像コンテンツの制作など、幅広く新事業を展開し始めています。
こうした事業と連動したブランディングを進めていくことが益々重要になっており、基となるありたい姿の社内外浸透施策など様々な取組みが始まっています。

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

投資家の方々や市場、お客様の声に積極的に耳を傾けることが重要と考えています。プロダクトアウトの発想から脱却せねばならず、お客さまに寄り添い、そのニーズを的確に把握し、完成品・コンポーネント・サービスを一体でソリューションとして提供していくことが必要です。
現在の社会の変化は様々な情報ソースが発達し加速し続けています。こうした環境下ではいかに確かな声を正確に拾えるかが重要です。その意味で投資家や業界のリーダー、お客様からのリアルな声を聞く場を積極的に設けています。例えばCESでの出展もその一つ。ニコンとしての全社的な取組を展示しつつ、お客様との会話やトレンドの収集の場でもあると考えています。

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

まだまだ社内は働き方に対する意識も変化が必要であると思っています。コロナ禍が明けつつある中で出社や在宅のルールも柔軟に対応するようになってきました。
また今年は新本社への移転も計画されており、対外的な環境変化は大きいと思います。しかしながら業務における組織的な観点では縦割り意識が強い部分が課題として残ります。
ありたい姿で掲げているニコン像は従来のニコンよりさらに柔軟になり社会の変化に対応できている必要があり、そのためにもまずは横断的に事業部が連携し、より良いソリューションをお客様に提供するなどこれまで限定的であった動きを促進させる必要もあると思っています。

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

繰り返しにはなりますが、2030年をターゲットに設定したありたい姿がまさにそれに当たると思います。2022年に設定したこのありたい姿の実現には①他社との共創、②サステナビリティと成長戦略の両立、が必要だと思っています。①は冒頭に触れた買収案件なども一つの事例です。②においては、例えばリブレット(サメ肌)加工技術 といったCO2 削減につながる技術、社会の発展に貢献する技術やサービスを少しずつ世の中に提供しつつあります。
現状保有しているリソースや技術を基礎としてどのようにそれらを発展させていくか、どの市場を拡大していくかを中長期的に描きレビューしていく。全てこのありたい姿の実現に向けて活動を行っていきます。