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Suntory

土田 雅人 様
サントリーホールディングス株式会社
常務執行役員

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

この1-2年は、コロナ禍を経て、社会経済活動の回復が見られました。サントリーとしてはこの変化を捉え、事業やブランドをさらに高め、成長スピードを加速させていくため、2023年2月にはグループ企業理念を刷新し、創業から大切にしてきたことを明確にしました。そこから、全社を挙げて企業理念の理解・浸透活動を積極的に推進し、コーポレートブランディングの基盤構築を進めてきました。今後は、更にグローバルを見据えて、コーポレートブランディングの取り組みを一層進化させていきたいと考えています。 

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

コーポレートブランディングにおいて対応する領域や範囲は、格段に広く、複雑になってきています。かつ、難易度も上がってきていることを実感しています。当社は長らく、地球環境や社会との共生を自らの使命として環境活動や社会貢献活動に積極的に取り組んできましたが、その領域や範囲、課題の質が変わってきていることも実感します。特に、サステナビリティ、これからの地球のために何ができるのかについて全社を挙げて取り組んでいます。これからも、地球に生きる人々の生命を輝かせる存在となれるよう、グローバル企業として、真摯に、粘り強く歩みを進めていきます。 

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

リソースに限りがある中、企業としてすべての変化に対応しようとすることは現実的ではありません。その前提のもと、変化にいかに対応するかの判断指針として、常に立ち返るものが企業理念だと考えています。企業理念というゆるぎない軸をもちながらも、機動的に世の中の変化に対応していくことを意識しています。そして、変化に対応するのみならず、自らが変化を生み出し、社会に提案し、世界をリードしていくようなブランドになっていきたいと考えています。 
世の中の環境変化を捉え、迅速に対応していくことは非常に大事なことですが、いかにサントリーらしさを発揮し、お客様に商品を通じて企業理念や姿勢を感じ取っていただくかが大切だと考えています。社内では「OMOROI(おもろい)」という言葉がよく使われます。これまでの延長線上にはない新たな価値を創造していこうという思いが込められた言葉です。不確実性が高く、守りに入ってしまいそうになる時代だからこそ、明るく元気で、「OMOROI」を追求し続けるサントリーであり続けることは重要です。どんな環境にあっても「OMOROI」挑戦を続け、イノベーションを生み出し続けていく。それが実現できれば、常にお客様に寄り添いながら、サントリーらしく世の中の変化を乗り越えていけると信じています。 

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

サントリーでは、企業の成長の源泉は人材にあると考え、人材育成やエンゲージメント向上にかなり力を入れています。近年の変化としては、働き方や意識の多様化、労働環境そのものの流動性の高まりなどが挙げられるでしょう。もちろん、制度面での対応は行っていますが、何より重要なのは、一人ひとりがなぜサントリーで働くのか、何のためにサントリーで働いているのかという問いの答えを持てるようサポートしていくことだと考えています。その核となるのが企業理念です。企業理念への理解・共感を得つつ、一方で、いかに機動的に具体的な施策を導入できるか、この両輪が対応の要諦だと思っています。 
日本国内においても働き方や意識などは多様ですが、グローバルではなおさらです。サントリーは2024年2月に創業から125年となりました。先人の努力により、日本では多岐にわたる活動を積み重ねてきました。おかげさまを持ちまして、コーポレートブランドとしても一定の評価をいただいております。しかしながら、海外はまだまだ歴史が浅く、その成り立ちも国・地域によって様々です。今後、長期視点でその国・地域ごとの歴史、ブランドをいかに作っていくかが課題ですが、日本のサントリーをベンチマークに、50~100年先を見据え、グローバルにサントリーらしい活動を展開していけるよう牽引していきたいと考えています。 

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

前述の通り、サントリーでは2023年2月に企業理念を刷新しました。これまで社内では様々な表現が活用されていましたが、その中で、何が一番大切なのか、原点に立ち戻り、創業以来大切にしてきたことを「パーパス」と「バリュー」としてシンプルに表現しました。加えて、お客様に商品や企業活動を通じて理念を感じ取っていただくことが重要であり、従業員一人ひとりがその担い手であることを意識してもらえるよう、工夫を重ねました。理念を現場と切り離さず、常に現場を念頭に議論していくこと、グループ各社の経営層や管理職層が自分の言葉で企業理念を語り意識して行動すること、お客様の声のフィードバックを欠かさないことなどが挙げられます。従業員一人ひとりがいつのまにかサントリーで働くことを誇りに思っている、そのような環境を整えていくことが大事だと考えています。 
サントリーのグループ会社は世界中に存在し、そこで働く人々は、言語を異にするだけでなく、非常に多様な社会的文化的バックグラウンドを有しています。もちろん、サントリーという企業・ブランドに対する理解やロイヤルティも千差万別です。グループ全体としてこの多様性を力にしていくことが重要だと思っています。そのためにもまずは一人ひとりが企業理念を真に理解し、パーパスやバリューを沁みこませ、行動を通じて自然と体現できるようになるよう、持続的に取り組んでいくことが大切です。グローバルでいかに魅力的でユニークなONE SUNTORYを築いていけるかが課題ですが、今、まさに世界各地でその進捗が見えつつあり、とても頼もしく感じています。