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Chugai

谷口 岩昭 様
中外製薬株式会社
取締役 上席執行役員 最高財務責任者(CFO) 財務経理、広報IR、購買統括 財務統轄部門長

Best Japan Brands 2025
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。 各社のブランドリーダーが 3つの質問に答えるインタビューシリーズ。

問1. どんな1年であったか:

この1-2年を振り返ってみて、貴社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか?
「ひと言」で表現するとすれば、どんな言葉で表すことができるでしょうか。その「ひと言」の背景や意味合いなどもお聞かせください

この1-2年は、中外製薬にとって変革とさらなる飛躍に向けた加速の年でした。世界のヘルスケア産業のトップイノベーターに向けて、さらなるイノベーションの追求と企業価値の向上に取り組んでいます。特に、2030年を中長期の目標年とした成長戦略TOPI2030につき、目指すゴールへの解像度を上げ、戦略を精緻化し、バリューチェーンごとに注力すべき点を明確化しました。改めて高い目標だと認識すると同時に、それを達成する道筋も見えてきました。また、サステナビリティを事業活動の中心に据える位置づけを明確にし、マテリアリティの見直しを実施しました。私たちは、さまざまなステークホルダーと価値を共有し、社会と共に発展する「共有価値の創造」を基本方針に、「患者中心の高度で持続可能な医療の実現」にまい進して参ります。

問2. Change – 変化と対応:

この1-2年において、様々な変化があったものと思われますが、貴社にとっての主な変化とその対応について、お考えをお聞かせください

創薬研究は自社創製プロジェクトが直実に進展し、特に次世代のモダリティとして期待している中分子の連続的な創薬が進んでいます。オープンイノベーションでは、米国でのコーポレートベンチャーキャピタル活動が本格化し、未来を見据えた新たな挑戦を開始しました。従来当社は自社独自の創薬技術を強みとしてきましたが、オープンイノベーションにより、自社の強みと、外部の新規モダリティや技術を融合させたマルチモダリティ創薬を進めます。
同時に、ESGやD&Iへの取り組みも強化しています。挑戦的な中期環境目標の設定や、女性管理職比率向上など、社会的責任を果たすとともにイノベーション創出にも寄与すると考えています。今年は新たな人事制度もスタートします。社員が主体性を最大限に発揮できる環境を整備し、個の成長を会社・組織の成長につなげ、患者さんへの新たな価値提供、そしてさらなる企業価値向上を目指します。
投資家対応では、ESG情報の開示充実や定期的なオンライン説明会の開催により、非財務情報の透明性向上と双方向コミュニケーションの強化に努めています。

問3. Challenge – 未来への課題:

今後 (これからの1-2年で)、貴社の事業やブランドにとってどのようなこと(変化)が起きると考えていますか?その変化による課題に対して、どのような準備が必要だとお考えでしょうか

薬価改定や後発品の浸透、政治的変化による不確実性など、医薬品業界にとって厳しい外部環境も予測されますが、このような不確実性の高い環境においても、当社はこれからもイノベーションにこだわり続けます。中外製薬は創業100周年を迎えます。関東大震災を目の当たりにした創業者が抱いた「世の中に役立つ薬をつくる」という使命感は、パーパスとして受け継がれています。100周年を機に創業の精神や挑戦を再確認し、次の100年に向けた新たな挑戦の基盤とします。この節目の年を契機に、当社は社員の主体性と創造性を最大限に引き出す環境づくりに注力します。「R&Dアウトプット倍増」「自社グローバル品毎年上市」という高い目標を達成するためには、一人ひとりがより主体的に考え、行動を起こし、世界の患者さんが期待するイノベーションを生み出し続けていくことが強く求められています。個々の社員の成長を会社・組織の成長につなげ、患者さんへの新たな価値提供、そしてさらなる企業価値向上を目指します。