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OMRON

井垣 勉 様
オムロン株式会社
執行役員常務
グローバルコーポレートコミュニケーション&
エンゲージメント本部長 兼
サステナビリティ推進担当

Best Japan Brands 2025
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。 各社のブランドリーダーが 3つの質問に答えるインタビューシリーズ。

問1. どんな1年であったか:

この1-2年を振り返ってみて、貴社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか?
「ひと言」で表現するとすれば、どんな言葉で表すことができるでしょうか。その「ひと言」の背景や意味合いなどもお聞かせください

ひとことで表すと「変革と挑戦」の1年でした。
まず経営としては、ビジネスモデルのトランスフォーメーションを加速させました。具体的には医療ビッグデータの収集分析を行うJMDCを新たな成長ドライバーとして事業に組み込み、事業ポートフォリオは、従来の4事業体制から5事業体制へと進化を遂げました。一方で2024年4月から2025年9月の18ヵ月間を構造改革期間と位置付け、抜本的な改革に着手しました。これは会社全体をさらなる進化に向けてトランスフォームさせる取り組みであり、全社でアクションをスタートさせています。
次にブランドの面では、データソリューションビジネスを事業に組み込むことによって従来のブランドの見え方を変えていくチャレンジをはじめた年になります。全社視点でのビジネストランスフォーメーションを、いかに社内外に浸透させていくか。ブランドのあるべき姿を見つめ直し、体系、戦略の再構築に向けた準備を進めた1年だったと言えると思います。

問2. Change – 変化と対応:

この1-2年において、様々な変化があったものと思われますが、貴社にとっての主な変化とその対応について、お考えをお聞かせください

2023年は2度にわたる業績の下方修正によってステークホルダーの信頼を失いました。そのような中で、構造改革の一環としてグローバルな人員構造の最適化を決心し、実施しました。これは希望退職者の募集なども伴う苦渋の決断でしたが、今やらないと2030年をゴールとする長期ビジョンの実現に間に合わないという危機感が経営陣の中にあり、前を向き、ゴールに向かうために断腸の思いで決断した経緯があります。ブランドにとっては逆風が強まった試練の年でもありましたが、この試練をバネに次のブランド価値向上に向けたアクションを加速させたいと考えています。

問3. Challenge – 未来への課題:

今後 (これからの1-2年で)、貴社の事業やブランドにとってどのようなこと(変化)が起きると考えていますか?その変化による課題に対して、どのような準備が必要だとお考えでしょうか

2025年は9月に構造改革期間が終わり、2026年にスタートする次期中期経営計画に向けて成長のモメンタムを加速させる大きな節目の年と捉えています。その中で、事業とブランドが両輪となった取り組みを持続的に成長させ、社内外のステークホルダーから共感を生む取り組みを本格的にスタートさせます。
事業面では、データソリューションビジネスの実体とその中身をしっかり伝えていくことで競合優位性を見せながら、既存ビジネスとの掛け合わせによるシナジー効果についても浸透を図っていきます。また、人財面においても社員がより活躍できる場の提供や評価される仕組みなどを構築したいと考えています。ブランド面では、従来の4事業のそれぞれの価値を積み上げるボトムアップ型のブランディングではなく、グループとしてブランド・プレミアムを創出することがチャレンジになってきます。
地政学的リスクが高まり、ブロック経済化していく社会においては、もはや従来のグローバルという考え方は通用しなくなってくるでしょう。そこで、多様なステークホルダーにいかに新たなブランドメッセージを伝えていくか。コミュニケーション面も新たに構築していかなければならないでしょう。次の中計が始まる2026年度のタイミングを見据えて準備を進めていきます。