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Yamaha Motor

木下 拓也 様
ヤマハ発動機株式会社
執行役員 クリエイティブ本部長

Best Japan Brands 2025
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。 各社のブランドリーダーが 3つの質問に答えるインタビューシリーズ。

問1. どんな1年であったか:

この1-2年を振り返ってみて、貴社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか?
「ひと言」で表現するとすれば、どんな言葉で表すことができるでしょうか。その「ひと言」の背景や意味合いなどもお聞かせください

「感動体験とは何か?」ーその問いと、向き合い続けた1年でした。
ヤマハ発動機は「感動創造企業」をめざしていますが、「感動」という日本語が持つ意味はグローバルにはなかなか伝わりません。それなら体現していることを見せることでわかってもらおうと考え、昨年から、感動をつくる源泉としての、社員の自主的な活動を集めながらサポートする活動「NEXT KANDO ACTIONS」を続けています。それが「感動創造企業」としてのシンボリック・アクションのひとつとして、我々の人格や価値観、ブランドとして大事にしていることが見えてくるのではないかと考えています。

問2. Change – 変化と対応:

この1-2年において、様々な変化があったものと思われますが、貴社にとっての主な変化とその対応について、お考えをお聞かせください

我々はこれまで、アウトドアでのエクセプショナルな体験など、エキサイトメントにフォーカスしたブランディングをやってきました。そのイメージのほとんどは商品が創ってきましたし、それは主に顧客(ユーザー)にしか届いていませんでした。しかし今は、世界のアジェンダに対し企業としてのスタンスを問われる時代。今後は、顧客に限らずあらゆる人々に対して、社会や環境に対する提供価値や創りたい未来に一歩踏み出す姿勢を示す必要があります。
いま、SDGsやDEI、ESGが問われる時代ですが、その時流に乗ってやり始めるのとは違う歴史があります。たとえばカーボンニュートラルについて、我々はスタートからずっとミニマム・パーソナル・モビリティや電動アシスト自転車の発明などを通じて、環境負荷の低減に貢献してきました。インドネシアやアフリカでのクリーンウォーター事業、アフリカでの漁業支援活動も1960年代から継続しています。そういう企業としての人格を、うまくストーリーとして伝えていきたいと思っています。それらを整理し、我々はどんな価値観で行動しているのか、またしようとしているのかを「NEXT KANDO ACTIONS」プロジェクトを通して集めているのです。

問3. Challenge – 未来への課題:

今後 (これからの1-2年で)、貴社の事業やブランドにとってどのようなこと(変化)が起きると考えていますか?その変化による課題に対して、どのような準備が必要だとお考えでしょうか

私たちの顧客だけでなく、顧客以外の生活者はもちろん、プレイフィールドである山や海、それらを包括する世界で、すべてが「三方よし」になるためにどういう価値を打ち出すか。ヤマハ発動機が社会に有用な存在であるとことをしっかりと示すことが、今後のブランドとしてのチャレンジであり、それが昨年1年、続けてきたことの先にあるものだと考えています。
新たにパーパスを規定して指標にするのがブランディングの常道かもしれませんが、我々は新しい言葉を創るのではなく、実際にやってきたことを“魅せる化”すること、言い換えればアクションを通じてストーリーをつくっていきたいと考えています。
商品を通じてブランドへの理解や共感をいただける顧客と異なり、直接の顧客でない生活者にとっては、私たちのアクションが、その生活者とその世界に関係がなければ、更にはインパクトがなければ無視されるだけです。そのため、その関係性とインパクトによって、顧客にとっての企業価値のみならず、生活者とその世界にとっての存在価値を見出して頂き、この先も一緒に未来を創り出していけるか。日々、考えているところです。